フォーラム神保町「戦後日本が失ったものを語る」

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開催日時:2009年7月4日(土) 10:00〜18:00

「戦後日本が失ったもの」—– 失われた「焚書」

 
田母神先生のご講演「戦後日本が失ったものを語る」を拝聴し、戦後日本人が自身と自信を喪失したことへの慟哭を聞いたような印象が残りました。
 
私は田母神先生も言及された「焚書」について、大きな問題意識を持っています。GHQにより焚書された著作群(約7千冊)並びに「焚書」作家たちは、「戦後日本が失ったもの」を探求する知的好奇心の王道の真ん中に在り、また、それらの中には、日本の(場合によっては世界の)知的財産といえる資格を持つものも少なくないと期待します。(ご参考:「総目録 GHQに没収された本」(占領史研究会 サワズ出版))
 
私の思いは、失われた「焚書」群を読み解くことで「焚書」群が織り成す世界を知り、日本人の喪失したアイデンティティーに迫りたいということです。
 
また、近い将来、この失われた知的財産が、より多くの人々に共有され普及することを期待します。解説本、原著、復刻本が、図書館や書店の「焚書」コーナー(?)に並ぶという絵姿です。この共有と普及により、歴史や思想をめぐる建設的な(正確な)議論がより多く惹起されるのではないでしょうか。
 
しかしながら、失われた「焚書」をめぐる現状は、約7千冊の全量が正確に把握されている訳でなく、収集や保存も苦労が多いとのことです。一部の関係者や研究者が失われた「焚書」の探索に奮闘し、また復刻出版に希望をつないでいると聞いています。
 
もし、世間(世論)の側から、「焚書」問題に火をつけることができたら、大きな力となるでしょう。
 
失われた「焚書」は、「戦後日本が失ったもの」というタイトルの下、フォーラム神保町の場で是非採り上げて頂きたいテーマです。そこで、僭越ですが、まずキックオフとして、研究に尽力されている西尾幹二先生をお呼びして、失われた「焚書」及び「焚書」作家について語って頂くのも意義深いのではないかと思います。
 
(会社員/林 千勝)

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