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▼バックナンバー 一覧 2010 年 10 月 27 日 松林 要樹

●かき消された専門家の声

 二〇〇八年六月二五日、八丈町の菊池睦男議員と菊池綾子議員の呼びかけで、大賀郷公民館に二六人の住民が集まり、最終処分場建設について考える集いが催された。さらに七月にも二度の集いが開かれ、八月六日には『南海タイムス』にコメントを寄せた坂巻幸雄氏を講師に招き「水海山の自然と処分場問題を考える
集い」が開催された。
 長田の第一歩は勉強会への参加だった。何度も繰り返すが、何も知識がなかったクサヤ屋の長田は、『南海タイムス』の記事でこれからできようとする処分場の実態を知ったのだ。
 この勉強会に参加した長田は、坂巻の話に聞き入った。坂巻は講演の前に現場
に行き、もろい火山灰層を確認した。その視察に基づき、講演で「水を通す火山灰層は処分場には適さない。八丈島の地質、地下水を調べている専門家による第三者機関の設置が必要」と提言した。それを聞いた長田は処分場建設に反対する思いを深めた。
 水海山の地下水について、本体はかなり深いところにあるのではないかと坂巻氏はみる。「三ヵ所の地下水ボーリング調査では、地表下一三・五メートルの所に地下水面があるが、さらに掘り進めるとその水は抜けてしまいそうだとの話を聞いた。一部事務組合の資料が出てきたら、詳しく吟味しなければならない」とこれまでの調査資料をもとに感想を述べた。
 管理型処分場の立地を検討する際は、そこの地盤が緻密で水を通しにくいことが条件になる。環境省が決めた基準の一〇〇分の一しか水を通さず、理想的なケースとして建設された千葉県富津市の産業廃棄物管理型処分場ですら、水を通しやすい火山灰層があったことを見落としていたために汚水漏れが起こったという。施工主の一部事務組合には、こうした有識者の意見を取り入れ、調査を再び行う気配は今のところない。
 これらの動きを伝える記事が出て、八丈島の住民の中に問題意識が生まれた。
これらの記事が表に出たことによって、行政が自発的に動き、この処分場の在り方を何か考え直してくれるかもしれないと思ったが、現実は違った。

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