編集後記

 はじめましてフリーライターの魚住昭です。まずはこのウェブマガジンを立ち上げた経緯からご説明します。
 昨年秋、『月刊現代』の休刊が決まった直後、作家の佐藤優さんとクロワッサン編集部の山田聡さんの3人で雑談をしていたときのことです。誰からともなく「このままでは危ないね。何とか打つ手はないものかな」という話になりました。
 雑誌が次々と休刊になり、情報を発信する媒体が新聞やテレビだけになると、官僚機構(つまり国家)の情報統制が進んで社会から複眼的な視点が失われ、人々の思考が一色に染まってしまう。そうならないよう、多様でふくらみのある情報空間を創らなければいけない。それが私たちの共有する問題意識でした。
「ウェブマガジンをつくったらどうだろう」と佐藤さんが言いました。「それはいいアイデアだ」と私も山田さんも賛成しました。ウェブなら紙媒体のように金がかからない。それに読者との双方向性も確保できる。
 問題は読者の鑑賞に耐える原稿を集めることができるかどうかです。私は日ごろから、その才能と人柄に畏敬の念を抱いていた何人かの著者に打診してみました。「原稿料は払えませんが、その代わり書きたいことが自由に書けます」と。
 ちょっと意外だったのですが、皆さん、すぐにOKしてくれました。やはり同じ問題意識を持ち、何とかしなければいけないと思っておられたからでしょう。
 ラインナップをご覧になれば分かるように、執筆陣(私を除けばですが)はそれぞれの世界で第一級の評価を確立されておられる方ばかりです。
 私の編集方針は「右」であれ「左」であれ良いものは良いし、悪いものは悪い、とにかく良質な情報を読者に提供していくということです。原則的に二週間に一回のペースで更新し、読者の皆さんからの質問や意見があれば、それにも可能な限り応えていくつもりです。
 今回は創刊準備号としてとりあえずスタートしますが、近いうちにウェブの組み立て自体をリニューアルし、内容もさらに充実させます。たぶん今までに例のないウェブマガジンになるでしょう。どうかご期待ください。(了)
 
「魚の目」への、ご意見・お問合せ等はこちらまで info@uonome.jp