フォーラム神保町香山リカの「ハッピー孤独死マニュアル」第1弾 〜飯島愛は幸せだったのか?

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開催日時:1月29日 (木)19:30〜

勉強会レポート

ゲストの神林広恵さんは、「噂の真相」の編集者を経て、フリーのライターとして活躍されている方であるが、彼女の友人・島村麻里さんの見送りを体験されたばかりである。

まず、島村さんの死をめぐり、発見からお別れ会までの経緯を、語って下さった。

島村さんはメールをうけると、即返信する習慣がある。しかし、その日神林さんが出したメールに2日たっても、往信が来ない。これはおかしいと3日目に確信されたという。神林さんは友人に声をかけて、島村さんの自宅に向かう。ガラスをわって家屋に入って呼びかけながら、部屋を次々探した結果、すでに亡くなっていた島村さんを発見されたということだ。

妹さん、警察に連絡する。遺体の埋葬。ペットのもらい先。部屋の片付け。友人、知人、関係者への連絡。ユニークな明るいお別れ会(島村さんの希望)の開催—。

妹さんと数人の友人が文字通り、模索しながら、分担し、力を合わせて、別れの作業を執り行った様子が伝わってきて感動的だった。

「死後に迷惑をかけない、かけたくない」という概念に捕らわれがちであるが、友人を、ご家族の代わりに、このように死後のケアをすることは、むしろ友情の結末として喜びのひとつといえるのではないか、と思えてきた。生きているものが、順送りに、担っていければよいと思う。

香山さんと神林さんのトークによって、私は孤独死を肯定することになったが、そのためにも心構えの具体例が参考になった。日常生活の半ばで死を迎える可能性に備えて、

  1. 3日間連絡が取れないとヘンだ、と気づいてくれる人を確保すること
  2. 自宅の部屋はほどほどにかたづけておくこと
  3. 葬儀法などは、こだわりがあるなら、公証役場で書面にしておくこと。
  4. ペットを飼っているときは、譲り先を決めておくほうがよい
  5. 遺言もつくっておくこと。メモではなく公証人役場に届ける必要がある。

など、ポイントがあげられた。これらは、生きるための基本でもあり、孤独死に限らず、必要事項にちがいない。

これらを把握していれば、病気の長患いよりよほどハッピーであると実感出来た。

ひとり暮らしの死を、「孤独死」と名付けることは、現代の管理社会体制からくる発想であろう。誰にとっても、どんな人生でも孤独なものなのだから。

長患いでもなく事故でもなく、ぽっくり死ねるハッピー孤独死をめざして、保険、相続、お墓、遺品整理の事などを知っておきたい、と考えるに至っている。

(角川書店 編集部 伊達百合)

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