読み物証拠改ざん事件をめぐる三井環・元大阪高検公安部長の告発状
平成22年9月22日
大林宏検事総長殿
告 発 状
一 告発人
三井環(元大阪高検公安部長)
二 被告発人
前田恒彦(大阪地方検察庁特捜部検事)
林谷浩二(同庁検事)
坂口英雄(同庁副検事)
國井弘樹(同庁検事)
遠藤裕介検事(同庁検事)
高橋和男(同庁副検事)
牧野善憲(同庁副検事)
二 告発事実
厚生労働省・村木厚子元局長らが逮捕起訴された郵便不正をめぐる事件において、被告発人前田は、氏名不詳者と共謀の上
平成21年5月26日ころから同22年7月16日ころまでの間、大阪地方検察庁において上村勉元係長の自宅から押収したフロッピーディスクに入力されていた偽の証明書の最終的な更新日時を「04年6月1日午前1時20分06秒」から「04年6月8日午後9時10分56秒」と改竄し、村木厚子元局長らの刑事事件に関する証拠を変造したものである。
被告発人林谷は、氏名不詳者と共謀の上、平成22年3月18日および同月24日の村木元局長の大阪地方裁判所の裁判において、「取り調べメモを廃棄した」などとウソの証言をし、もって偽証したものである。
被告発人坂口は、氏名不詳者と共謀の上、同年3月18日上記裁判において、「取り調べメモを廃棄した」などとウソの証言をし、もって偽証したものである。
被告発人國井は、氏名不詳者と共謀の上、本年3月29日上記裁判において、「取り調べメモを廃棄した」などとウソの証言をし、もって偽証したものである。
被告発人遠藤は、氏名不詳者と共謀の上、本年3月29日、上記裁判において、「取り調べメモを廃棄した」などとウソの証言をし、もって偽証したものである。
被告発人高橋は、氏名不詳者と共謀の上、本年3月29日及び4月14日の上記裁判において、「取り調べメモを廃棄した」などとウソの証言をし、もって偽証したものである。
被告発人牧野は、氏名不詳者と共謀の上、本年4月14日、上記裁判において、「取り調べメモを廃棄した」などとウソの証言をし、もって偽証したものである。
四 罪名及び罰状
告発事実証拠隠滅、刑法第104条、第60条、
偽証、同第169条、第60条
五 告発の経過
告発事実については、9月21日付け朝日新聞朝刊記事等を端緒とする。改ざんしたFDは大阪地裁には証拠として提出されていないものの、同罪が成立することは、疑う余地がない。
「氏名不詳者と共謀した」としたのは、村木元局長の主任検事でもある被告発人前田のみの判断でかような日付けの改ざんをしたとは到底思えないからである。被告発人前田の上司である大坪特捜部長、あるいは大阪地検公判部長等の了解をえて犯行に及んだのではないかと言う疑いが強く残るためである。
報道によれば、被告発人前田はフロッピーディスクのデータの変造そのものは認めているようであるが、捜査の争点はその上司が共犯者として関与しているか否かにある。
については、被告発人である6名の検察官が取調べメモを廃棄したと証言した当時の新聞記事等を端緒とする。「氏名不詳者との共謀」としたとしたのは、被告発人のみの判断で偽証するとは到底考えられないからである。
被告発人が証人出廷前に証言の打ち合わせを地検公判部の検事や被告発人前田恒彦立会検事とされているが、その段階で上司の指示あるいは暗黙の了解のもとに取り調べメモを破棄したという証言を組み立てていた疑いはきわめて強い。
したがって、本件捜査の争点は上司が関与していたか否かにある。よって大阪地検大坪弘道特捜部長、玉井英章次席検事、小林敬検事正らが関与していないか取り調べをする必要がある。
また、被告発人らが公文書である取り調べメモを廃棄するなどということもありえない。最高裁は、取り調べメモは「捜査上の公文書」であると認定し、最高検も全国の高検、地検に対して適正な管理を通達している。かような文書を被告発人6名全員が廃棄するなどと言うことは断じてありえない。万が一にも廃棄したとするならば、公用文書等毀棄罪(刑法第258条)の犯罪を構成する可能性が強い。いずれにしても被告発人6名には犯罪が成立する。
六 結論
ここまで述べてきたとおり、被告発人前田他6名の犯行については、単独犯行であるとは到底考えられず、その上司らと通謀して罪証隠滅をするおそれはきわめて強い。在宅での取り調べでは罪証隠滅を赦すことにつながり、全員を逮捕、勾留、接見禁止処分をつけたうえで厳正な捜査を望みたい。
一般人の刑事事件と同様にただちに逮捕勾留し、上司との共謀関係も含めて真相の解明に努め、起訴処分とすることを強く望む。
以上