フォーラム神保町香山ゼミ「おひとりさま経済学 好評第2弾!〜これからおひとりさまはどうやって生きて行くべきなのか、教えます!」
勉強会レポート
おひとりさま革命への道
今回、香山ゼミに初めて参加させていただいた。
今まで人類が誰も体験したことのない閉塞感、豊かさの貧困ともいうべき状況に直面しているということ。その事実をまず認識し、21世紀的な革命を模索する、大変刺激的な内容だった。
対談の始めの方で、
1.移動性が低い(腰が重い)
2.環境適応力がない(柔軟性がない)
3.壊れやすい(ヤワである)
といった特性を備えた、「非貿易財」的な多くの日本人男性に対し、「貿易財」的な日本人女性は、グローバル化した世界でも対応力が高い。この貿易財的な特性こそ生き残るために必要だ、という浜先生の分析があった。まるで的確に私の非貿易財性を見透かされたようで、すんなり理解できた。無論、現代社会を貿易財として生き抜く女性は男性同様かそれ以上のストレスにさらされている。若い女性にアルコール依存症が増えている、という香山先生の報告はその証明だと思う。
また、いわゆる草食化といったテーマにも触れながら、若い人の中に、大型家電や自動車を買わない、もはや買いたいとも思わない、「嫌消費世代」と呼ばれる層が出てきている、という香山先生の指摘にも思い当るものがあった。我身を考えてみても、ここ数年、確かに外出や消費が減った。(最近ユニクロさえ購入を躊躇することもあります…)不況のせいなのか、情報化の影響なのか、単に年齢のせいなのか、理由ははっきりしないが、なんとなく街をブラブラする、という機会は本当に減った。(書店だけは最低週2回以上足を運び、帯文や背表紙を眺めなくては気が済まない)
支出を極限まで抑え、あるいは投資で成功し、資産をいくらか増やすことができたとしても、それは手段であり、目的ではない。現在進行形で問題となっている、一部金融機関の巨大化(「大きすぎて潰せない」)、世界中の複雑な金融商品(デリバティヴ)の取引残高だけで5京円を軽く超えてしまうという天文学的な数字は、私たち人間の心のどこかにある、「自分さえよければ」が形を変えて集約されたものかもしれない。
こうしたさまざまな「自分さえよければ」について、今回のフォーラムを機に、さらに考え続けてゆきたい。
(水戸部圭/角川文化振興財団)
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