フォーラム神保町香山リカの「ハッピー孤独死マニュアル」第3弾〜「おひとりさま」の理想と現実、教えます。
勉強会レポート
第1弾から第3弾まで参加させて頂いているが、回を重ねるごとに充実した勉強会になっているように思える。
「ハッピー孤独死」というタイトルから、色々な意見が出ているようであるが、悪趣味で不謹慎な勉強会ではない。むしろ積極的に「死の問題」あるいは「死に方の問題」を考えるからこそ「より良い生」を全うできるのではないかと個人的に考えている。
勉強会の冒頭で香山氏は「不謹慎な会」ではないことを言われているが、そう言った論調が出ること自体、死生観に対して日本社会の意識の希薄さを感じる。
今回の松原氏を交えての対談も最終的には、「孤独死」が問題というよりも、今ある現状のコミユニティー(地域社会・近所付き合い)が問題であるということを受け止めた。家の中の人(こと)以外は無関心であり無関係でありたいということを現代に生きる人間は望んでおり、それは「都市型現代人」には強い傾向であるようだ。その延長線上に「孤独死」という要素が生まれ、腐乱死体が発見される。
「孤独死」は偶発の出来事であって、それ自体が悪い死に方であるとか可哀そうであるという問題でもなく、家族に囲まれていても友人が多くても「孤独死」する可能性ははらんでいる。突然死がその最たる例ではないか、突然に死を迎えるのであって誰かに看取られる可能性はゼロに近い。その場合にどうしたら良いのかが分からないのが今の私たちの社会のようだ。
その問題も踏まえて松原氏は政策的な問題も指摘しておられたが、政治には期待出来ないのでNPOを立ち上げ、自らネットワークを持って独り身の女性たちに「何かあったときには・・・」どうするのかを、誰に連絡するのかを予めわかっておく「安心団体」を設立したようだ。松原氏は「一種の不安産業」と冗談で言われていたが・・・。
今回は宗教の問題も触れられていたが、松原氏は「宗教は人間の根幹をなすものだから、持っていた方が良いのではないか」と考えられているようだ。
質疑応答の際、質問者が、周りの知人と話すと結構宗教を持っている人が多いので驚き、日本では宗教のことを話すのはタブーではないのかという質問もあり、松原氏は、宗教は出会いだと思うと答えられていた。
私は、キリスト教徒であり信仰を持っているので、宗教の話はタブーだと考えていない。寧ろ宗教を持つことと信仰を持つことでくっきりとした「人生観」や「死生観」や生きることの有意義さを感じると思っている。また、キリスト教徒であるからと言って他宗教者を非難することもしたくはないと考えている。
この3回の勉強会を通して考えることは、「孤独死」そのものの問題よりも生き方の問題であると同時に生きている間にどれだけの人と出会い、どれだけ社会や世界に貢献するのかを世界レベル、社会レベル、個人レベルで考え直す良い機会になっている。
「死」は真剣に考えるべき至上命題だと常日頃から受け止めているが、今から「死」の準備(墓や財産のことなど)は考えたくはない。
下園直央(新教出版社)