フォーラム神保町「ヤクザと芸能界〜NHK紅白、演歌歌手出場停止の裏側〜」
この日の勉強会は梨元勝氏が講師。山口組直系組長11人の処分問題の発端が、有名演歌歌手らとヤクザのゴルフコンペ参加だったことから、当日の関心はいやがうえにも高かった。
冒頭、猪野健治先生からヤクザと芸能の歴史についてのレクチャーがあり、もともと芸能・興行がヤクザの仕事だったことが語られた。とくに浪曲興行が大きな役割を果たしていたことが明らかにされた。
その後、いよいよ、梨元氏の登場である。豊富な体験に裏打ちされた有意義な話が次々と語られた。
まず、芸能人とヤクザの関係でいえば、毎度、紅白出場に論点が矮小化される傾向や、紅白出場者の決定プロセスがまったくオープンにされずに、「視聴者からの批判」なるものがお題目のように唱えられるNHKの官僚体質、過去の美空ひばりや、北島三郎ファミリーらの紅白出場をめぐる対応が紹介された。また、報道現場に蔓延している、無責任体質についても、ご自身が名誉毀損で訴えられたケースを例に語られた。
「梨元の書いたことは誰も信用していない」との理由で裁判に勝った例などユーモアあふれる話しぶりに参加者のテンションも高まっていった。
また、芸能人とヤクザについて考えるときに欠かすことのできない、民族問題や差別問題についても直接、取材現場で見聞されたことが紹介され、冒頭の猪野先生の話とテーマが結びついたところで、質疑応答、歓談へと移り和やかなうちにお開きとなった。
(筑摩書房編集部 青木真次)