日本伝統音楽論行脚魚の目版「笑う親鸞」 

▼バックナンバー 一覧 2009 年 4 月 16 日 伊東 乾

 浄土真宗本願寺派正覚寺。今日お尋ねするお寺さんだ。一年に一度の真宗寺院の大行事、報恩講が開かれている。
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「報恩講」といっても真宗と縁の薄い人には馴染みがないに違いない。実際、私自身も最初はまったく分からなかった。父方は4代続くクリスチャン、母方の菩提寺は浄土宗という、宗教的に混乱した背景を持つ私は、ホームグラウンドの西欧音楽の源流をキリスト教に辿りながら、浄土宗の戒名を持つ母の菩提も弔って、いまは真宗の説教のフィールドワークを自分の研究・創作生活の大切な糧にさせてもらっている。以下、真宗に予備知識がないものとして、簡単に説明しておこう。

「報恩講」は、浄土真宗のご開山、宗祖親鸞聖人の祥月命日近くに、親鸞さんへのご恩報謝のために営まれる、真宗門徒にとっては最も重要な年次法要だ。そもそもの起こりは、親鸞の孫である本願寺三世覚如が、ご宗祖の三十三回忌を記念して始めたものとされている。

 親鸞聖人が入滅されたのは弘長2(1262)年11月28日とされる。これはグレゴリオ暦では1263年1月13日に当たる。古来、報恩講は11月に行われてきたが、明治以後は西本願寺派など1月にこれを執り行うところも出てきた。さらに第二次大戦後には、真宗各派が、さまざまな時期に分けて行うようになってきた。

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