日本伝統音楽論行脚魚の目版「笑う親鸞」 

▼バックナンバー 一覧 2009 年 4 月 16 日 伊東 乾

名古屋 浄信寺、鐘楼
(名古屋 浄信寺、鐘楼)

1 仮に来て、教えて帰る・・・

 朝一番、京都の西本願寺の書店で資料を買い込んでから、電車で大阪を目指した。大阪駅で環状線に乗り換え、新今宮から南海電車で泉州を目指す・・・気がつくと急行電車は岸和田駅に停車していた。本願寺で買い込んできた資料に夢中になっていて、行過ぎてしまった。慌てて反対方向の電車に乗り換え、どうにか目指す「忠岡」の駅にたどり着いた。
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 ところがこの忠岡から先がまた分からない。駅頭でコンピュータを取り出して、行き先グーグルの地図で確認する。万事こんな具合だから、私のフィールドワークは実に危なっかしいと、我ながら思う。途中で忘れ物に気づく。荷物を置き忘れたのではない、お寺さんへのお礼を準備し損ねていたのだ。うまい具合に道沿いに小さな文具店があった。

「封筒か、『ご霊前』の袋みたいなもの、いただけませんか」
「ナニに使いなはるの?」
「お葬式ではなくて、お寺さんへのお礼なんですが」
「『お布施』て印刷した袋もあるわ。ノシはついとったほうがええの?」
「いえいえ、結構です」

 大枚を包めるわけでもなく、大げさな熨斗袋は不釣合いだ。ちょうどいい封筒を買い込んで、名前を書き、名刺と寸志を中に納めて、目指すお寺さんに急ぐ。そろそろ報恩講の始まる時間が近づいている。

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