弁護士業の現場から第二回

▼バックナンバー 一覧 2010 年 1 月 27 日 安田 好弘

(6)接見禁止一部解除申立書

2010年1月26日
東京地方裁判所刑事部 御中

被 疑 者   石川知裕
弁 護 人   安田好弘

 上記の者に対する政治資金規正法違反被疑事件について、東京地方裁判所裁判官がなした接見禁止決定を一部解除するよう申し立てる。

第1 申立の趣旨

 接見禁止の対象から、以下の書類の授受を除外し、接見禁止を一部解除する
読売新聞(株式会社読売新聞東京本社)
日刊スポーツ(株式会社日刊スポーツ新聞社)
との決定を求める。

第2 申立の理由

1 全面的接見禁止の理由はない
 原決定は罪証隠滅のおそれを理由に、全面的に接見及び文書の授受を禁止した。
 しかしながら、以下のとおり、身柄拘束に加えて全面的に接見を禁止しなければならない理由は全くない。少なくとも、公刊された大手新聞の購読を禁止する理由はない。なお、読売新聞および日刊スポーツはいずれも東京拘置所内で購読可能な新聞である。
 
2 被疑者は現職の国会議員である
 被疑者は現職の国会議員であって、国民から選挙で選ばれたものであって、憲法上の不逮捕特権を有する。したがって、その身体の拘束に際しては、必要最小限にとどめることが憲法上も要請されているのであって、接見禁止についてもその趣旨は十分斟酌されなければならない。
 本件での接見禁止の一部解除の対象は、公刊された誰もが知る大手新聞であって、それを通じての罪証隠滅はありえない。
 むしろ、被疑者は、現職の国会議員として、自らの逮捕・勾留についてメディアがどのように報道し、国民がどのように自らのことを考えているか知る必要がある。
 また、被疑者は、現職の国会議員として、本来出席すべき国会の様子をはじめ日本及び世界で起きている政治、経済等について最新情報を入手する必要がある。現職の国会議員として、必要な場合には、いつでも国会の議論に参加できるように準備をしておく必要があることは当然である。
 したがって、被疑者が不逮捕特権を有する現職の国会議員であることから、その職務の遂行を確保・準備するためには、最低限大手新聞については接見禁止の一部解除とされなければならない。
 
3 被疑者には休憩が必要である
 また、被疑者は、逮捕勾留以来、毎日平均約8時間、合計約80時間の長時間の取り調べを受けている。しかも、その取り調べ時刻は、午前10時から深夜の午後11時半までに及び、その間、被疑者は、椅子に座り続けさせられ、激しく追及され続け、また「嘘をつくな!」などと激しく罵倒され続け、肉体的にも精神的にも完 全に疲弊させられており、筆舌に尽くしがたい苦痛を受けている。被疑者に対し、憲法36条が禁止している拷問が行われているのである。
 このような取調が勾留制度の濫用であることはすでに準抗告によって争っているところであるが、少なくとも、ささやかな外界との窓を確保し、リフレッシュし、心身を解きほぐして休憩のひとときを確保するため、最低限大手新聞については認められるべきである。
 
4 まとめ
 したがって、上記新聞については、接見禁止の一部解除がなされるべきである。

以上

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