東郷和彦の世界の見方第十五回 ウクライナ和平の動向(その15)
プーチンに生まれた「1インチ」の優位。
魚の目第14号を筆者は、2025年5月8日で校了とし、「5月1日は和平の分水嶺になるか」と問いかけた。今日は前稿から12日たった5月20日、依然としてまだ和平の最終的な帰趨は定かではない。しかし明白なのは、トランプという圧倒的な力を持つ「和平実現」を目標とする大統領を間に、
▼トランプの力がある間に、長きにわたって存続するシステムとしての和平を「戦争の根本原因を除去する」ことによって成し遂げようとするプーチンの「長期戦略」と、
▼欧州四カ国プラスONE(ウクライナ)という構築をつくりあげ、トランプをも自陣営にひきこみ、プーチンと言う悪の元凶の持つ力を決定的に弱めた形の和平を導入しようという「守旧戦略(四年間のバイデンと同じ)」の間で、猛烈なせめぎあいが繰り返されていることである。
▼本稿校了の5月20日の時点であえていうならば、5月11日の朝に突然「5月17日にイスタンブールでウクライナとの二国間交渉を」という爆弾をなげてから今日まで、交渉のイニシアティヴを握り続けるプーチンに、「1インチ」の優位が生まれているように見える。
▼逆に言えば、この優位が故にプーチンが自国の立場を押しすぎると、今一歩背景に退いた感のあるトランプが守旧勢力の圧力におされ、予断を許さない事態がおきうるということかもしれない。
第一幕 「欧州4カ国プラスONE」の先手攻撃
5月9日のモスクワ戦勝記念日80周年を前に勝負に出たのは「欧州プラスONE」の守旧勢力だった。
プーチンが、第二次世界大戦の80周年戦勝記念日を祝うために5月8日から5月10日までの72時間の一方的停戦を提案、ゼレンスキーはこの案を拒否したところまでは、第14号で述べた。
5月8日までモスクワ周辺の空港周辺への攻撃があり、一部には、5月9日の赤の広場の諸行事にドローン攻撃があるのではないかという懸念が表明された。しかし、さすがにそれはなく、プーチンは、8日から10日の夕刻まで、赤の広場の行事と習近平を始めとする外国賓客との分刻みの日程をこなした。
この間隙をねらって、5月10日、英独仏ポーランドプラスゼレンスキーは、キーウで会談、5月12日(月)を期として30日の無条件停戦を提案、プーチンがこの停戦を拒否すれば大規模な制裁を果すと声明。トランプとも電話で調整されていると報道された。
ここまでに積みあがってきたトランプのSNS発言等を見ると、「トランプの電話調整」が「欧州プラスONE」側について行われると見ることはありえたと筆者にも見える。
① 5月9日、欧州四カ国プラスウクライナが5月10日に出した最後通牒の直前にトランプがTruth Social に書いた言い方からすると、欧州4プラスOneほど教条的ではないが、早期30日停戦に肯定的であることが伺える。
参考:トランプ氏のSNS投稿
② 5月8日 ヴァンス副大統領がミュンヘン安保会議で、「ロシアの要求が強すぎる」という趣旨の発言を行った。見出し的には「ウクライナ寄り」との印象を与える。但し、決してロシアとの対話を閉ざす方向には向いていない。
参考:ミュンヘン安保会議でのヴァンス氏発言
③ 5月7日、連邦議会下院の公聴会でベッセント財務長官は「プーチンは戦争犯罪人か」という質問に「はい」と答えた。「戦争犯罪人と交渉するのか」と聞かれ「それが外交の本質であり、双方と交渉しなければいけない」と答えている点は立派である(日経電子版)。しかし、ベッセント財務長官が、4月30日のウクライナとのエネルギー鉱物資源協定の立役者であり、トランプ政権が抱えている各種関税協定の調整で功績を挙げている背景も捨象できない。
④ 4月26日のTruth Socialの最終部で、「プーチンはもしかもしたら戦争をやめたくなく、彼に対しては、制裁等別途の対応が必要かもしれない」というかつてなくプーチンに厳しい論調がでた。これは、ローマ法王葬儀の際のトランプ・ゼレンスキー会談直後にだされたものであることが重要な背景をなすのかもしれない(第14回投稿収録済み)。
⑤ 4月24日のTruth Socialにて表明されたキーウへの民間人殺戮についての「必要がない、タイミングが非常に悪い、ヴラディーミル、やめろ(STOP)」というメッセージ(第14回投稿収録済み)。なお、3月31日トランプが信頼する牧師マーク・バーンズ氏がキーエフを訪問し、ウクライナ側の接遇を受け「ロシア軍残虐行為」の強い印象を得て、それがトランプ氏の印象に更なる「反ロシア」の印象を与えたという報道がある。
参考:マーク・バーンズ氏キーエフ訪問
第二幕 プーチンの反撃第一手
トランプの動きをプーチンがどう分析し、米露間の様々なチャネルで何が話されていたにせよ、欧州四カ国とウクライナが一方的に設定した「30日完全停戦イエスかノーか」に関する最後通牒の刻限は12日に迫っていた。
5月10日、直にペスコフ大統領報道官は、ABCニュースのMartha Raddatzの独占インタビューを受け、「停戦に反対ではないがそこにはニュアンスが必要だ」という過去のプーチンの反応を繰り返し、またロシアにとっての根本原因の除去の重要さも再確認した。
参考:ABCニュース
しかし、プーチンが準備した爆弾は遥かにこれを上回る強力なものだった。プーチンは、80周年戦勝記念日関係行事がすべて終わった10日夕刻、正確には、11日朝2時クレムリンに記者団を集め、突然「15日イスタンブールでウクライナといかなる前提条件もつけない協議を行いたい」という爆弾提案を行った。絶妙なタイミングによる第一手であり、まずは12日対ロシア最後通牒は吹き飛ばされた。
5月11日02:00付けでクレムリンから発表された、プーチンの新聞記者へのメッセージをご覧いただきたい(日本語自動通訳あり)
参考:プーチン氏メッセージ
当初、30日停戦に同意しないなら不参加という反応を示したゼレンスキーに対しトランプは5月12日1:16AMのTruth Social Trumpで「ウクライナはこれに参加すべきである。今直に会合を持ちなさい」と叱咤した。
参考:トランプ氏のSNS投稿
ゼレンスキーはこれに同意せざるを得ず、会合への参加を表明するとともに、それと同時に、「トルコで15日にプーチンを待っている」(日経電子版)として、15日からの首脳会談開催を逆提案する形でこの二国間会談に食いつくという事態になった。
かくて、トランプ周辺からは、プーチン・ゼレンスキー会談が実現するなら、たまたま中東訪問実施中のトランプもこれに参加するとの報道が短期間ではあったが、燃え上がり始めたのである。
この第二幕におけるプーチンの本質を正しくつかみ、評価している論評として、5月11日付けのGordon Khan 氏の論評を紹介しておきたい。
ゴードン・ハーン氏は二年ほど前に、ブッチャにおけるロシア軍殺戮の欺瞞性を詳細な事実分析によって示した人であり、筆者は折に触れて同氏の見解を参照している。
参考:ゴードン・ハーン氏の論評
第三幕:プーチンの反撃第二手
ところがプーチンはだれも予想していなかった次なる一手をうった。15日イスタンブール二国間交渉を提案しておきながら、肝心の誰がロシアから行くのか、自分がいくのかいかないのかについて、情報がパタリと途絶えたのである。そして完全な情報管制の下、14日の夜に安全保障会議の主要メンバーで会議を開き、対ウクライナとの交渉方針及び、メジンスキー大統領補佐官・団長(2022年3月のイスタンブール協議におけるロシア側団長)、ガルージン外務次官、コスチコフ軍参謀本部警備総局長、フォミオン国防次官他の派遣を決定した(大統領HP5月15日朝900参照。代表団名簿と共に、日本語自動翻訳あり )。
参考:ロシア大統領府HP
なぜメジンスキーという2022年のイスタンブール合意のロシア側団長であり、この協議で何が起きたかを誰よりも熟知する人間を団長にしたのか。
それはこの交渉が一時は「仮署名」という形で署名されておりそのために多数の部外者も協力しておりながら、結局バイデン・ジョンソンによる「それではロシアという悪を十分に弱化できない」という圧力にゼレンスキーが屈し、戦争継続に踏み切り、結果として無益なウクライナ将兵とロシア将兵、ウクライナ市民とロシア市民が死に続けているという真実をあきらかにできるからだと思う。
さらにもっと重要ななことは、戦争がそれ以来無駄に三年続いたことにより戦争の現実とウクライナとロシアとの力関係が変わった、2022年3月のイスタンブールで合意できたことが今は合意できないことがお互いにあるにちがいない、そこを解明し合意できることから議論をすすめていくことが最も手堅い平和の基礎を作ることになるという、戦争を確実に終わらせるためのロードマップを提示しようとしたのだと思う。
これに対してウクライナ側は、ウメロフ国防相(2022年イスタンブール合意の交渉に参加していたらしい)を団長とする代表団を最終的に派遣した。イエルマーク大統領府長官、シビハ外相等の参加も当初報道されたが、結局、閣僚級としては、ウメロフのみとなり、それ以外は、諜報、軍事、外交などの「専門家集団」といってもよいグループとなった。ロシア側の団員の構成に合わせたと言ってもよいのかもしれない。
アメリカはルビオ国務長官(安全保障担当補佐官を兼務)とウイトコフ特使が参加すると報道された(15日00:26タス)。
さてプーチンが「15日イスタンブール」と言った以上、ロシア側代表団は、前述のとおり、14日夜にすべての手続を完了させ、15日にはイスタンブールに到着し、ウクライナ側代表団の到着を待つという姿勢を、対外的にも、また、接受国トルコにもきちんと伝達した。ロシアのマスコミはそのニュースでもちきりとなった。
しかし、15日は結局何も起きなかった。代わりに交渉に水を差すような不快な後味を残すことがこの日二カ所で発生した。
まずウクライナの交渉態度であるが、15日、ゼレンスキー大統領はトルコの首都アンカラでエルドアン大統領と会談するに先立ち、ロシアの代表団についてこれを「飾り物」という信じがたい「非礼」な発言を行ったのである。本件交渉に対するウクライナ側の真剣さを根本的に疑わせる遺憾なものと看取された(日経電子版)。
その裏腹に、「自分がイスタンブールでプーチンを待つ」という宣伝的立場を繰り返し続けたのである。
ゼレンスキーは結局、15日は以上の挑発的発言を行ったのみで、最終的にウメロフ国防相を団長とする代表団をイスタンブールに派遣できたのは15日の遅くか16日の早朝となったようである。
更にもう一つ15日、後味の悪い事態が起きた。アメリカの代表としてイスタンブールに乗り込んでくる予定のルビオ国務長官が、トルコ・アンタルヤにおいて、「高い期待はもっていない」ロシアの代表団の構成を巡り「より低いレベルのグループを派遣した。重大な突破口につながるとは思えない」「この交渉はプーチンとトランプが会談しない限り決着しない」と述べたのである(日経電子版)。
ルビオは、メジンスキーが2022年イスタンブール交渉のロシア側キーマンだったことを知っていたのだろうか。仮にそこまでの勉強が間にあっていなかっとしても、プーチンがイスタンブールを選んだのは、仮調印までいったイスタンブール合意から交渉を再出発させ、積み上げようとする現実的・建設的意図があったと考えなかったのだろうか。
或いはそう考えたからこそ、そういう交渉を実現させたくないために、ことさら低評価を述べたのだろうか。
憶測に基ずく議論はここでやめたいが、筆者には、後味の悪い印象が残ってしまった。
更にこの違和感は、16日午前に持ち込まれた。筆者の承知する限り、ロシア側が16日朝10時からの会合をする準備を整えていたにもかかわらず、先ず会合が行われたのは、トルコ、アメリカ、ウクライナの三者会合だった。その後の情報を総合すると、ルビオ国務長官他アメリカ代表団は三者会合には参加、その後は会合から手をひき、結果としてロシア代表団とはなんらの接触もしないで、退去したようである。
16日朝10時からウクライナとの会談のために2022年の会談場で待機すると表明していたロシア側代表団は約二時間半待たされる結果になった(以上モスクワニュース他諸情報による)。
様々なやりとりと虚々実々の動きが交錯したが、結局16日12時半(日本時間の1830)ロシア・ウクライナ会談が始まり、二時間余り、会談が行われた。アメリカ代表団は出席せず、トルコは主催国として最後までこれに参加した。
会談終了直後メジンスキー代表以下4名のロシア代表団は、彼らをとりかこむ多数のメディアを前に、きわめて明解なロシア語で以下の発表を行った。
「会談は2022年以来中断していた二国間交渉の継続のラウンドとして行われ、全体としてロシア代表団は会合の結果に満足しており、これを継続したいと考えている。以下の三つの成果があった。
① ロシア・ウクライナ各々1000名の捕虜の交換
② ウクライナ側は国家首脳間の会談の希望を表明し、これは考慮される。
③ 停戦についてはウクライナとロシアがそれぞれの考える停戦について文書で提案し、それをお互いが検討した結果、準備が整ったところで、次回の会合を開催する。」
ウメロフ国防大臣も記者団に囲まれた記者発表を独自に行ったが、筆者の印象では大筋の食い違いはなかったが、次回会合では大統領レベルへの格上げが必要であることを強調したように見受けられた。
第三幕に関する評価
様々な論評があふれたが、イスタンブール二国間交渉について公平な見方をしめしたものとして、Tarik Cyril Amar(イスタンブールのKOC大学で研鑽しているドイツの研究者)が 5月17日に発表しRTに転載された以下の論評がある。
参考:RT掲載の論評
第三幕の終わりに筆者として、一言発言しておきたいのは、日本のテレビで行われている「有識者」からの解説についてである。
15日及び16日夜の日本のテレビ放送の解説では、筆者がフォローした限り、どのコメンテーターからも、22年イスタンブール合意が仮調印までいった貴重な合意だったが、英米の介入によって崩れたという今や公知の歴史的真実を報道するところはなかった。逆にプーチン大統領が2022年イスタンブール合意の延長を提案しているのは、この合意が一方的にロシアに有利だったからだという一部西側の報道をうのみにする解説しか出てこなかった。とても残念なことに思える。22年イスタンブール合意をほりさげていくと、日本のマスコミが遮断している様々な「不都合な真実」がでてくる。それはそれで稿を改めたいが、本日は一言だけ述べるにとどめたい。
第四幕:トランプが動く
正に双方の動きは虚々実々である。
次なる一手はほかならぬトランプ大統領から、5月17日11:58PM発出のSNSで、「5月19日朝10時にプーチン大統領と電話会談をする。目的は流血をやめることである。それからゼレンスキー大統領、それからNATOの様々なメンバーと話す。停戦が成立し、決して起きるべきでなかった戦争が終了することを願う」という発表を行った。
参考:トランプ氏のSNS投稿
大統領どうしの電話会談を控え、17日、ラブロフ外相とルビオ国務長官が電話協議を行った。ロシア外務省によると、この協議は、米国側の要請で行われた。ラブロフ氏は、ウクライナに交渉参加を促したアメリカの役割を評価した由(日経電子版)。詳しい懇談内容はブリーフされていないが、誰しも思いつくのは、イスタンブール・ロシア・ウクライナ協議に出席できなかったルビオが、ロシア側の評価をきちんと聴取することが重要な目的だったということである。その後ルビオはプレスに対し「休戦について双方が案を出すことが合意され、そこで中身のある合意ができれば、それは良いことである」(日経電子版)と述べている。
ちなみに、それから両大統領会談が始まるまでの一日余りの間にロシア幹部から対外的に極めて興味深いブリーフが行われている。日本では殆ど注目されなかった、一連の発表を簡潔に紹介しておきたい。
▼プーチンの18日のテレビ出演:Russia1TVでパーヴェル・ザルービンへの回答として行われた。プーチンは、「永続する維持可能な平和を構築する。それには紛争の根本原因を除去する。それは2022年に始めたことの論理的結論に達するためである等」のべ、18日08:30RTに掲示された。
参考:プーチン氏発言
▼ラヴロフのモスクワ外交協議会(在ロシア外交官の会)での講演会
5月18日 夜8時 現地時間 西側からのロシア攻撃を強く批判する部分が興味深い。
参考:ラヴロフ氏講演
▼なおロシア代表メジンスキーは、16日イスタンブールで会談終了後米国の著名な報道番組CBSの“60Minutes”のインタビューに応じており、ロシア側の交渉態度として、極め付きに面白い。特に、これまでロシアが経験してきた多数の戦争を簡潔に振り返り、ピーター大帝とスウェーデンとの21年間戦争でピーター大帝側から何回も提示した和平条件にスウェーデンが同意せず結果として二度と欧州の中心部に出られなくなるほどの敗北を喫し、最後まで戦いを使嗾していたのが英仏だったと述べ、「歴史は繰り返す」と語っている所は極めて興味深い。同時にメジンスキーの飾らないが、堂々たる交渉態度も興味深い。
参考:メジンスキー氏インタビュー
さてトランプ大統領とプーチン大統領との電話会談は予定通りワシントン時間19日朝10時から約2時間にわたって行われ、両大統領は、それぞれその結果を直にマスコミに対して発表した。両者の内容はおおむね一致しているが、それぞれをきちんと把握しておくことは極めて重要だと思う。
▼トランプは、Truth Socialにコメントを発表。ワシントン時間5月20日、2:33AM。
参考:トランプ氏のSNS投稿
▼プーチンは、クレムリンで、対プレス用の口頭声明を発表した。疑いもなくよく準備されたものと観取されたが、メモ無しの発言であった(大統領府ホームページ。直に日本語への自動翻訳が読める)。モスクワ時間5月19日19:55。
参考:プーチン氏声明
最終幕:現時点での総合評価
(1) 5月20日2:33のトランプのTruth Social がまず鍵だと思う。
トランプは、「停戦の条件、より重要な戦争の終結のための条件は、即座に、ロシアとウクライナとの間で交渉を開始する。交渉の詳細は彼らしか知らないのだから」という舞台設定を残した。これは、基本的に16日イスタンブール交渉の継続の是認である。しかも、積み残っていたのは「停戦のための双方の意図を文書で確認しあって交渉する」範囲から踏み出し「平和条約締結のために必須となる「根本原因の除去」の問題に踏み込むことを容認しているように見える。
(2)これについて正確な合意内容は、プーチンの口頭発言の中で明解に述べられている。
① 米国大統領と以下のことに合意した。
② ロシアは、ウクライナ側に将来の平和条約草案についてのメモランダムを提案し、一緒に作業する。
③ メモランダムには、例えば、和解の原則、平和条約締結の時期、これらが合意された場合の一定期間の停戦などが規定される。
④ イスタンブールでの交渉相手とのコンタクトは再開され、このことは我々が正しい方向に向かっていることを示している。
(3)二つの発表をみれば、しばらくの間、ロシアとウクライナが交渉を続ける道筋があるように見える。ただ、プーチンもトランプも自分の発言は自分で決める制度と力をもっている。残念ながらゼレンスキーは、その庇護者に依存せずに政策の根本が決めきれない。ヨーロッパの守旧四か国の動きがこれからどのような障害となって両国間交渉に影響を与えるかが読み切れない。かかる不安要因を抱える交渉では、プーチン側には、1インチ優位に展開し始めた交渉を進めるためには、一層慎重に対応する必要があるのかもしれない。