東郷和彦の世界の見方第十九回 ウクライナ和平の動向(その19)
米露首脳直接会談後、トランプが高揚する理由
前号18号におけるウクライナ戦争の動向については、7月3日のトランプ・プーチンの電話会談における「食い違い」に端を発し、校了時の7月27日までの25日間、米ロ関係は本格的な大嵐が来る前の豪雨が急に強まった感があった。
第19号においても、少なくとも8月6日までの10日間、雨の降りは強まるばかりと感ぜられた。
ところが8月6日にウイトコフ特使がモスクワを訪問しプーチン大統領と懇談、そこから、まもなく事態は急展開し、8月15日のアラスカ米露首脳会談の実現にいたった。8月16日の本号校了日は、アラスカにおける米露首脳会談から一日を経たのみであるが、予想を超えた「トランプ和平」への道が拓かれたかもしれないという情報が出始めている。自分としては、トランプ調停交渉が、何らかの理由によって揺らぐことなく、確固とした基礎の上に、前に向かって進んでほしいと祈るのみである。
第一幕 7月28日~8月5日
7月28日以降の露米ウクライナ間の交渉上の要点を述べる前に、七月下旬の公開情報でロシア側から一つ、西側から一つ、興味深い分析を紹介しておきたい。
ロシア側では、プーチン自身が7月17日に、彼の同行記者のトップとして知られるパーヴェル・ザルービンからのインタビューに答えて「ロシアは石油と天然ガス及び外国技術のみに依存していてはだめだ、これからのロシアにとっては「技術的強靭さ」例えば国内自動車産業発展の必要性等を強調したことである。(7月20日英文RTで公開)
参考:RT
西側論評では、一部の専門家には知られているJohn Helmer氏が同じく7月20日自らのブログDances with Bears に書いた “トランプの診断と真珠湾問題:最悪を予想する人が最も良く勝つ”という論考である。“The Trump diagnosis is that the clinical symptom of madness is accelerating(トランプの診療としては、狂気の病理的兆候が強まっている)”というショッキングな一文で始まるこの論考は、プーチンが通常の交渉によって問題を解決しようとするなら、トランプの正常さが維持されている間でなければならず、時間は限られているという小生にとっては初めて見る論考であった。
参考:Dances with Bears
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さて、トランプ氏は、7月28日滞在先の英北部スコットランドで英国のスターマー首相と会談した際、「いい会話をしているのに、その翌晩にミサイルを撃ち込んで人が亡くなる」「(プーチン大統領との対話に)もう興味はない」と述べた。
7月29日には英北部スコットランドから米国に戻る大統領専用機の中から記者団に「ロシアが停戦交渉で8月8日までに合意しなければ追加制裁を科す」と表明した。残る期間10日である。「7月14日から50日」という当初の期間設定からかぞえると8月8日は、「7月14日から35日」という計算になり、二週間の期間短縮・圧力強化となる。
他方7月31日トランプは、近くウイットコフ特使をロシアに派遣することを明らかにした(いずれも日経電子版)。
トランプ大統領の舌戦による攻撃が続くなか、ウクライナ側は攻撃的態度を強めた。
① 7月28日、モスクワ発着の国内線を中心に50便以上が欠航。ハッカー集団がサイバー攻撃をしたと声明。ウクライナ侵略を続けるロシアを標的にしたとみられる(日経電子版)。
② 7月30日、ゼレンスキー大統領は動画声明で、米国と兵器に関する大型取引で基本合意に達したと表明。「和平に向けて対ロ圧力を強めている米国の姿勢に感謝」と強調(毎日新聞報道)。
③ 8月5日、ゼレンスキーはトランプと電話協議。ロシアへの追加制裁などの追加圧力について調整した(日経電子版)。
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緊張感が増す「西側」との関係において、反撃を買って出たのはラブロフ外相である。
7月28日 ラブロフは、テラ・シエンツィア・国民教育若手フォーラムで講演し、以下のような発言をした(タス報道。筆者抄訳)。
① 歴史上初めてロシアは一国ですべての西側と戦っている。
② 西側ではナチズムが復活しているが、西側諸国の合理的な国と対話する用意がある。
③ モスクワの主要な要求は、NATOがロシア国境に向かって拡大しないことである。
④ ウクライナ紛争では戦場における現実が考慮されなければならない。
⑤ トランプ政権との対話は、西側にまだ合理的な人たちが残っていることを示している。彼は実務的で戦争をきらっており、対話の用意がある。
参考:7月28日ラブロフ発言
7月30日 RTはウクライナにおいて行われている過酷な徴兵の現実を示す動画を放映した。日本ではほとんど放映されないものであり、筆者もロシアの公式サイトの中であまり見たことがない。ロシア側の緊張感の反映とみられなくもない。
参考:7月30日RT
更にこの間米露間の緊張を不用意に高めるような事態も起きた。7月28日メドヴェージェフ安保会議副議長(前大統領)は「(米国が)ロシアに対して最後通牒を突き付けるゲームをしている」と自身のSNSに書き込み、31日朝トランプは「言葉に気をつけるように伝えろ。彼は非常に危険な領域に踏み込んでいる」と投稿。メドヴェージェフは31日「これほどまでに神経質な反応を引き起こすのであれば、ロシアはすべてにおいて正しい立場にある」と通信アプリ「テレグラム」に書き込んだ(日経電子版)。
これに対しトランプ大統領の反応がエスカレートした。
8月1日、トランプは、「原子力潜水艦2隻を『適切な地域に派遣』するように命じたと明らかにした(日経電子版他各紙)。
メドヴェージェフの発言に対して「これを政治的に問題視」していわば騒ぎを大きくすること自体にも賛成反対双方の議論がありうる。
しかし、紙の上で行われたことに対して「原子力潜水艦2隻の派遣」という形で反応したことについては、筆者が読んだかなりの西側評論においても批判的なものが多く、トランプの言う「平和主義」を疑問視するものも見られた。
第二幕 8月6日~8月9日
ウイトコフ氏のモスクワ訪問の日取りの決定については若干の曲折があったが、結局8月6日ウイトコフ氏はモスクワにプーチン大統領を訪問した。空港へは、大統領特別代表を担うロシア直接投資基金のドミトリエフ総裁が出迎えた。会談はおよそ3時間続いた。ウイトコフ・プーチンの会談は4月25日以来で、ウイトコフ氏の訪ロは今年5回目となった(日経電子版)。
トランプ氏は8月7日自身のSNSに「非常に生産的な会談だった」「欧州の同盟者と結果を共有した」と投稿した。
参考:トランプのSNS投稿8月7日
8月6日ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)も会談は「有益で建設的だった」と述べた(日経電子版)。
更に事態は急速に展開した。トランプがロシア側に「停戦についての態度をきめろ」と言っていた8月8日、トランプ大統領は、自身のSNSに「ロシアのプーチン大統領と15日にアラスカ州で会談する」という爆弾声明を出した(日経電子版報道)。
参考:トランプのSNS投稿8月8日
更にトランプ氏は同日「いくつかの領土を交換し、両者にとってよりよい結果にする」という、驚くべき発言をしたと報ぜられた(日経電子版)。
8月8日、ロシア大統領府は、プーチン大統領と習近平主席が電話協議をしたと発表した(日経電子版)。アラスカにおける米露二国間会談というロシアとアメリカとの対話を大きく進めるべき段階にこぎつけたプーチンが、直に中国に最高レベルでその次第を伝えたことは大変興味深い。
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他方、同時並行的に、以上の動きに対する懸念、ないしこれと逆行するように思われる動きも顕在化した。
いうまでもないが、ゼレンスキー乃至これを支持する欧州諸国からは強い懸念の声が出はじめた。
8月7日、ゼレンスキー大統領は、ドイツのメルツ首相、フランスのマクロン大統領らと電話で協議し、停戦交渉について立場をすり合わせた。メルツ氏との協議後に、SNSで「戦争は欧州で起きており、和平協議のプロセスに欧州各国も参加しなければならない」と主張した(日経電子版)。
8月9日、ゼレンスキー氏は、異例となる朝の時間帯に国民向けのビデオ演説を投稿。トランプ氏の発言にはふれずに、「領土問題への答えはすでに(割譲を禁じた)憲法に書かれている。誰も逃れることはできない」と訴えた(朝日電子版)。「領土の放棄」について「拒否する」と明言し、「ウクライナ抜きの決定は和平に反する決定だ」とも主張した(日経電子版)。
ゼレンスキー大統領は、9日更に、欧州の首脳との協議を続けた。マクロン氏との協議後に、SNSで「ロシアに欺かれてはならない」と投稿した。マクロン氏は、スターマー氏、ドイツのメルツ首相らと電話で協議し、「ウクライナ国民を除外してウクライナの未来を決めることはできない」と強調し、欧州諸国も和平協議に関与する必要があると訴えた(日経電子版)。
また9日に、イギリス、ウクライナ、NATOの高官らは、イギリスでバンス副大統領と会談(NHK)。米ウォールストリートジャーナルによれば、ウクライナは英国で開かれた高官協議において停戦案を米側に伝えた。
案は①領土や和平の交渉より停戦交渉を優先、②ウクライナ軍が撤退すればロシア軍も別の地域から撤退する、③NATO加盟の可能性も含むウクライナの「安全の保障」を確約するのが柱(日経電子版)。これまでのロシアの立場と、巷間伝えられる戦場におけるロシアの優位性からすれば、交渉の出発点にすらならない案に見える。
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またインドとの関係であるが、8月6日には、トランプ大統領は、ロシアから原油などを購入していることを理由に、インドからの輸入品に25%の追加関税を課す大統領令に署名した(NHK報道)。
すでにトランプ大統領は、8月4日のTruth Socialに「インドはロシアの戦争によって多くのウクライナ人が殺されていることを気にかけない。そのことによって私は対インド関税を大幅に値上げする。」と述べていた。
参考:トランプのSNS投稿8月4日
また8月4日インド外務省も、インドが続けるロシア産原油の購入を米国や欧州諸国が非難していることに対し、「インドを標的とするのは不当で不合理だ」と反発する声明をだしている。8月6日の大統領令はそれらの動きを確認強化するものと言えよう。
第三幕:8月10日~8月14日
8月15日の米露アラスカ会談を控え、トランプ、プーチン、そしてウクライナとそれを支援する欧州諸国は、それぞれにマスコミを通じて自国の立場を表明した。
10日放映の米FOXニュースでバンス副大統領は、「誰もが完全に満足するものにはならないだろう。おそらく最終的には、双方が不満を抱くことになるだろう」と述べ、更に「米露首脳にウクライナのゼレンスキーを交えた三者会談を調整している」と明らかにした。
11日トランプ大統領は、ホワイトハウスでの記者会見の際、「ロシアはウクライナの広い範囲を占領している。重要な領土を占領している。我々はその一部をウクライナが取り戻せるように努力するつもりだ」と述べた(BBC)。また「会談が終了したら、ゼレンスキーや欧州の首脳に電話する。皆の意見を聞くつもりだ」と述べた。また次の会談に触れ「必要なら私も同席するが、ゼレンスキー氏とプーチン氏との間で会談を設定してもらいたい」とも述べた(日経電子版)。
12日の記者会見で、ホワイトハウスのレビット報道官は、「トランプ大統領はこの戦争を終結させるためにより確実に、深く理解する目的で現地を訪れる。聞き取り作業だ」と指摘した。同じく12日ルビオ国務長官は米ラジオ番組で「(プーチン氏の)腹をさぐる機会となると思う。トランプ大統領が直接あって話し、プーチン氏を見て話す必要がある。」と訴えた。米国務省によるとルビオ氏は同日、ラブロフ外相と電話で話した。首脳会談の地ならしと位置付け、成功へ尽力すると確認した(日経電子版)。
14日トランプ大統領は、ホワイトハウスで記者団の質問に答え、「私が(プーチン氏との会談で)実現したいのは、まもなくやることになる次の会合の準備を整えることだ。できるだけ早期にまたアラスカで実現したい」と語った。「二回目の会合には、プーチンやゼレンスキー氏のほか、欧州首脳も同席する可能性に言及した」(日経電子版)
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12日、ハンガリーを除くEUの26の加盟国は、共同声明を発表。この中で各国は「ロシアの攻撃を終わらせようとするトランプ大統領の努力を歓迎する」とした一方、「国境は力によって変更されてはならない。ウクライナの人々は自らの将来を決める自由をもたなければならない」と指摘し、EUはウクライナに対する経済的、軍事的支援を継続するとした。
一方、ハンガリーのオルバン首相は共同声明に賛同しなかった理由についてSNSに「この声明はEUの首脳たちが招待されていない会合について条件を設定しようとするものだ。ベンチの選手が指示をだそうとするのは、物事を悪化させるだけだ」と投稿した(NHK)。
13日米欧首脳のオンライン協議が行われた。欧州からは、ゼレンスキーのほか、英国、フランス、イタリア、ポーランド、フィンランド、EUからフォンデアライアン欧州委員長、ルッテNATO事務総長が参加。
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14日プーチン大統領は、米国との首脳会談の準備会合に出席した。プーチン氏は会合の冒頭で米国について以下のように述べた(筆者訳):「アメリカ政府とどのような段階にいるかお話ししたい。アメリカ政府は、誰もが知っているように、武力行動を止め危機を止めるために、十分に精力的で真摯な措置をとってきている。それらの措置は、この紛争に参加している当事者全員の利益にかない、欧州及び世界全体で長期的平和を構築するためのものである。更に、私たちは、戦略的攻撃兵器の制御という次の段階に向かって動き出すことができる。」
参考:ロシア大統領府HP
準備会合では、ウシャコフ大統領補佐官も、会合の段取りと手順を中心に報告した。それらの公表された段取りは会合の実質を反映する側面があり、大変興味深かった。
① 会談冒頭は「一対一(通訳のみ)」→実現せず。「一対三(ロシア側からはラブロフ、ウシャコフ)となる。
② 拡大会議では双方5名ずつ陪席、ロシア側からは、ラブロフ、ウシャコフ、ベロウーソフ国防相、シルアーノフ財務相、ドミトリエフ・ロシア直接投資基金総裁が出席する。→ 実現しなかった模様。
③ 会談終了後、両首脳が共同記者会見をする。→実現した。非常に重要。ただし質疑はなし。
④ 中心課題はウクライナ紛争であり、8月6日のウイトコフ特使との懇談内容を含む。そのほかの課題、国際社会及び地域情勢に関する先鋭的問題や、米ロ間の経済協力を含む幅広い問題もとりあげられる。→ウクライナ問題が取り上げられたことは明らかだが、そのほかは不明。
参考:ロシア大統領府HPウシャコフ発言
参考:ロシア大統領府HPロシア側代表団名簿
最終幕 2025年8月15日
8月15日午前11時半ごろから約2時間45分、アラスカの米軍基地で会合は行われた。当初は「一対一(通訳をそれぞれからだす)」から始める予定だったが、これは「三対三」(ロシア側ラブロフ、ウシャコフ;アメリカ側ルビオ、ウイトコフ)で行われた。結局当初予定されていた「五名の陪席者」会議は行われなかったもようである。
当然のことながら会合の内容は公表されていないが、その締めくくりとして両大統領による共同記者会見が行われ、ここに極めて重要な会談内容と今後に向かっての手掛かりが与えられたと思う。
クレムリンホームページ共同記者会見全文(ロシア語が元であるが英語または日本語に簡単に自動翻訳ができる)
参考:ロシア大統領府HP
さて、共同記者会見は約12分、最初にプーチンが三分の二ほど話した。
プーチンはウクライナ戦争に対する自分の立場を以下のようにとりまとめた。
① ウクライナで起きていることは、ロシアにとって国家安全保障に対する根本的危機である。
② ウクライナ国民に対し、今日の状況では奇妙に聞こえるかもしれないが、我々は兄弟的な気持ちを抱き続けている。同じルーツを抱く我々の間に起きていることは、悲劇であり、大きな痛みを伴う。したがって我々は真剣にこれを終わらせたい。
③ 同時にウクライナ問題が解決するためにはすべての『根本原因』が解決されねばならず、ヨーロッパおよび世界の安全保障の公平な均衡が回復されねばならない。
④ 私は、トランプ大統領と同じように、ウクライナの安全保障は担保されねばならないと考える。我々はそのために働く用意がある。
この共同記者会見で両大統領が発言した内容が事前に調整されたとは時間的にも内容的にも到底考えられない。ということはここでプーチンが言ったことは会談の中で強調されたものであり、それなりの理解を得たと確信したから発言できたということになる。要するに「ウクライナの安全保障は当然守らねばならないし自分もどうしたらよいか考える。しかし同時にこの戦争は、ロシアの安全保障をおおきくおびやかしているのであり、二度とそういうことが起きてはならない」ということである。
アメリカ人とヨーロッパ人の多くは、ウクライナの安全保障のことはだれしも考えるが、それと同等にロシアの安全保障のことを考えなければ戦争は決して終わらないという認識がない。この紛争の本質を、アラスカというアメリカ国内でかくも明確に述べえたプーチン大統領は、やはり、たいしたものだと思う。
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ではトランプはどう切り返えしたか。
① 誠に深いスピーチだ。我々は多くの問題を話し、そこには大変重要なものが含まれていた。
② 我々は完全な了解は達せられなかった。まだ『ディール』には達していない。ゼレンスキーとNATOの指導者にこれから電話をし、今日の会合について報告する。
③ しかし最も重要なことは、おそらく、我々には平和的な解決に達する大きな可能性があるということだ。
④ 我々は極めて近いうちにまたお目にかかると思う。近くお目にかかることを期待している。
⑤ (プーチンが英語で次回はモスクワでと言ったのに対し)興味深い提案だ。私は多分批判されるが、それは十分可能だろう。
ここでいう「両者の間で完全には合意できていないこと」は何なのか。共同記者会見で一言も出てこなかった「領土乃至国境線」の問題なのか。
それが何であれ、トランプがこの会談が「先につながるものであり、自分はそのためにモスクワに行ってもよい」と示唆したことは、アラスカ会談によって、ボールは再びウクライナ側のコートに投げ入れられたことを意味する。
そうだとすれば、自分としてはウクライナ及びそこを支持する欧州NATOとトランプとの協議が成功し、トランプ調停が始まって以来ちょうど7か月、この対面の米露協議によって開かれた和平への方向性が、できるだけ早く安定した軌道にのることを心から祈るものである。
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追加事項 8月16日
トランプ・ウクライナ側の協議が成功するか否かを考えるうえで極めて重要な動きが、双方で始まった。
まずロシア側であるが、16日帰国したプーチンは政府幹部らに帰国報告会を開催し、冒頭発言を記者団に公開した。主要点以下の通り(筆者抄訳)。
① 会談は時宜にかない有益。
② 公平を基礎とするウクライナ危機解決の可能性について話し合った。
③ この危機の起源、原因について話す機会があった。これらの根本原因の除去が解決の基礎になる。
④ このような我々の立場を、静かに詳細に述べる機会があったことを強調したい。もちろん我々は、軍事行動を最速で終わらせるという米国政府の立場を尊重する。我々もまたそれを求めており平和的な筋道ですべての問題を解決したい。
⑤ 会合は、率直かつ有益で、我々を、必要とする決定に近付けるものであったと思う。
参考:ロシア大統領府HPプーチン報告会での冒頭発言(ロシア語から英語・日本語へ翻訳可能)
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8月16日、トランプ・ウクライナ側の動きを三点あげておきたい。
第一に、アラスカで会談がすべて終わってから、トランプは、首脳会談が行われた部屋でFOX NEWSからのインタビューを受けた。インタビューをした記者はこれを10項目に整理しているが、特に会談の評価を聞かれたときに「10点満点中10点だ。その意味は私たちはすばらしく波長があったということだ」という評価をしている。トランプはどうしてここまで高揚したのだろうか。
参考:フォックス・インタビュー8月15日録画
第二に、その後トランプはTruth Socialに、アラスカ会合について「皆によって、ロシアとウクライナの間の恐ろしい戦争を終わらせるには、戦争を終わらせる平和協定に直接行くことであり、しばしば堅持できなくなる停戦協定に行くことではないと決定された」と書いている。これは、プーチンが主張してやまない「根本問題の解決」を示唆するものであり「まず停戦をしろ」というゼレンスキー・ヨーロッパそして今までトランプ自身が述べていた立場を本質的に変えることになる。なるほど、本当にそこまで腹をくくったのなら、高揚してしかるべきだと思った。
更に第三に、このTruth Socialの後段に、「8月18日(月)午後ゼレンスキーがホワイト・ハウスにやってくる。もしもすべてがうまくいくならプーチン大統領と(ゼレンスキーとの)会談をアレンジする。」とまで書き込んでいる。これは大ごとだと思う。この新機軸でゼレンスキーの基本ラインを説得しなければいけないのである。
合同記者会見でトランプ自身が述べたように、その先には、自分とプーチン、更には三者の会合が当然うかんでくるはずである。いやがうえにも、トランプの高揚感はあがるのではないだろうか。
参考:トランプのSNS投稿8月16日