鵜の目10月13日号
四茂野氏のホロウェイ論、網野善彦アジール論、アダモフスキー論を興味深く拝読しています。1960年代、1970年代の日本の労働運動には職場改善運動が積極的に行われて、職場の環境や人間関係の改善に意欲的に取り組む姿勢がありました。職制では取り上げてもらえない問題を労組が関与して解決していったものです。労組がアジールだったわけです。そのことが日本経済発展の原動力であったのですが、アメリカ式経営の流入と労組の弱体化でアジール型労組は姿を消しました。派遣労働が全労働者の3分の1を越える情況となりようやく労組幹部も本来の使命に戻る必要を感じているようですが、労働者派遣法の改正への動きに対して、もうひとつ熱意が感じられません。労働者が労働者を搾取する事態に連合幹部が口先だけの関与であることが、日本社会を一層暗くしています。今回の総選挙はなんとか現状打開を願った民衆の思いの結果でしたが、総選挙から40日が過ぎて、マニフェストに書いてあるからとの説明だけで、全体把握力に欠けることを暴露した国交相、腐敗と汚職にまみれ、オバマ政権さえもが見放すことも検討し始めているアフガニスタン・カルザイ大統領に会いに行く外相、削減を最優先させ予算の執行を停止させ経済の動きを止めた結果来年3月期には赤字企業が続出、税収大幅減で予算削減どころではなくなることがわからない若手副大臣、政務官たち、それにもまして派遣切りで切羽詰っている労働者に直接、支援策を打ち出せない厚労相、、、民主党政権の行方は見えました。四茂野氏には、ホロウェイ、アジール、アダモフスキーの観点から明日の日本の分析、解説を期待しています。
小屋隆良 09.10.13
ジョン・ホロウェイによる20世紀左翼運動への総括を、日本の現実を念頭に置きながらさらに読み進めたいと考えています。最大の社会運動体である労働組合をどうするかは、私にとっても最大の関心事です。