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●ゴミ処理場問題の発端
ここで、どうして処分場が建設されることになったのか、その場所がどうして水海山になったのか、これまでの経緯に簡単に触れておきたい。
九九年、旧厚生省通知により、遮水シートや浸出水処理施設を有していない処分場では、焼却灰の埋め立てができなくなった。そのため、管理型処分場を整備する必要性が生じた。伊豆諸島の各町村は、東京都島嶼町村一部事務組合(一部事務組合)を事業主体にして、管理型最終処分場を共同の広域事業として行うことを決定した〔一部事務組合とは、地方自治法284条2項にもとづき、複数の普通地方公共団体が行政サービスの一部を共同で行うことを目的として設置する組織〕。
〇一年三月「伊豆諸島における清掃施設整備計画」が策定され、八丈島などに管理型処分場を共同の事業として行うことが決まった。当面は北域の伊豆大島と南域の八丈島に処分場を整備し、中域の三宅島については噴火災害復旧の進捗状況をふまえながら検討を進めることとなった。
伊豆大島の処分場建設地は八丈島に比べると容易に決まった。もともとあった処分場の位置に作られたからだ。現在、八丈島の焼却灰は伊豆大島の管理型処分場で処分されている。焼却灰の処理を八丈島は伊豆大島に委託している。
八丈町の公式サイトにある八丈町の一般廃棄物の現状という資料をみると、〇八(平成二〇)年度は、二億二〇〇〇万円のゴミの処理費がかかっている。そのうち、約三九七二万円が焼却灰を処理する費用だ。内訳は、運搬費用に約一三九五万円、処理の負担金に約二四六四万円などである。八丈島のゴミを伊豆大島に処分してもらっているという負い目があって、八丈町役場が工事の着工を急いだという面も否めない。
場所の選定を巡り、水海山に処分場が決定するまで、六ヵ所の最終候補地があった。〇二年三月、中之郷のゴミ埋め立て処分場(安定型処分場)に隣接する民有地が候補地に選ばれた。しかし、住民の反対運動が起き、土地の所有者が売却を拒否した。そして〇六年一二月、現在の水海山に最終候補地が決定された。水海山が町有地だったため、買収がほかの土地より安易だったことが効いた。